高校生物  神経と筋肉  by 池田博明

● 第1項 神経細胞

 非常に特殊な形態をした細胞である。【図:ニューロンの模式図】
 核はあるが,分裂能力が抑制されている(細胞体は再生不能,神経繊維は切れても再生可能)。

 新生児:脳の中の神経細胞=140憶〜150億個。20歳までは数に変化なし。しかし,それ以降は減少 していく。使用されない部分から1日10万本ずつ死滅していく(廃用萎縮する)という。

● 第2項 筋肉
 私たちヒトの筋肉はいろんな観点から分類される。そのうちの数例を挙げる。

場所による分類 細胞による分類 神経支配による分類
骨格筋 横紋筋 (多核) 随意筋
心臓筋 不随意筋
内臓筋 平滑筋 (単核)


 さらに,骨格筋には2種類のタイプの筋原繊維がある。

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   赤筋                  白筋
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  ミオグロビンが多い       ミオグロビンが少ない
  酸素と結合(鮮赤色) 
  持久力あり            瞬発力あり
  有酸素運動に適する      無酸素運動に適する
  例.マグロ            例.カレイ,ヒラメ
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 ヒトでも赤筋繊維と白筋繊維の割合には個人差があり,遺伝的に決まっている。

【コラム】牛肉は霜降り肉に限るのか?
 牛肉は白い脂肪がきめこまかく入っている(霜降り肉)ほど格付けが上がる(格付けは専門の検査員が行う)。運動をさせず,草を与えず,トウモロコシなどの穀物を与える。出荷直前 にビールを飲ませる。硬いブラシでこすって皮下脂肪を肉に入りこませる。ビタミンAを 多くすると脂肪が黄色くなってしまう。そこでA欠といってビタミンAを減らす。ビタミンAを減らしすぎると歩けなくなる。
 松坂牛や神戸牛が有名。種牛も霜降りになりやすい遺伝子を持つ血統が重視される。
 霜降り肉作りの新技術として超音波診断装置が使われている。
 1万頭のうちの4割の内臓に異常が見られている(病的な内臓は捨てられる。肥料や家 畜資料に回される)。肥育するときにご馳走を食べすぎるからと言われている。
 本来,筋肉に脂肪が入っている状態は病的ではないか。
 なぜ,日本人は霜降り肉を愛するようになったのか。明治維新以降の牛鍋の歴史にある。 すき焼きとして食べられる。日本人はすき焼きで食べるのが好き。肉に内部から出る脂肪 で味がまろやかになる。
 欧米ではステーキやシチューが好まれる。100gで5000円の霜降り肉と400円の赤肉 を焼いてみる。霜降り肉は油の味である。北海道のある牧場ではステーキ用の牛(アンガス種)を育てている。人間の食物である穀物ではなく,牧草を食べさせている。ただし出荷直前には穀物を与えざるを得ない(脂肪が黄色くなるので)。
 膨大な量の輸入される家畜用穀物。1kgの牛肉を作るのにオーストラリアでは穀物を10kg, 日本では8.8kg,アメリカでは7.0kg。

   NHK「北海道スペシャル(4)ホンモノが食べたい」(1998年12月27日午前)より。
【コラム】米はコシヒカリだけでいいのか?
 新潟県産魚沼産こしひかりは10kgで7000円。オーストラリアやベトナムでもこしひか りを作って,日本に輸出している。コンビニの米もこしひかりになっている。しかし,に せブランド米が出回っている。あきたこまちはDNA鑑定をうたっている。きらら397と して売られていた米にはクズ米や異なる品種が混ぜられていた。
食べ比べたら?食味計で評価したら「こしひかり」「あきたこまち」「ほしのゆめ」は僅差。 街頭でブラインドテストをすると評価が分かれた(8,14,8)。タイ米は香り米と言われ る。
 最近,コメ・アレルギーの子供が増えている。普通の米を食べると全身に発疹が出る。 なぜか。市場を独占したコシヒカリ系統の米(甘味が強い)が原因である。「ゆきひかり」 という米ではアレルギーが出ない(パサついて味はよくないというが,それほど違いはな い)。原因物質は特定できないが。

    NHK「北海道スペシャル(5)おいしいコメの落とし穴」1998年12月


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