マーク・トウェイン アメリカ文学の父
池田博明
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| マーク・トウェインの『ノータリンウイルソンの悲劇』（または，間抜けウイルソンの悲劇と訳される）は，指紋を証拠に使った最初のミステリーである。 中央公論社版“世界の文学”の『イギリス・アメリカ名作集』に所蔵されている。ちなみに，この名作集のセレクトは見事なものである。 マーク・トウェインは少年少女には『トム・ソーヤーの冒険』で知られた小説家だが，その続編『ハックルベリー・フィンの冒険』によって，アメリカ文学の父と称賛されている。 『ハックルベリー・フィンの冒険』は真に偉大な小説がそうであるように，多義的な作品である。 この作品には《ニガー》という差別的な言葉が使われているということで，学校図書館から追放されそうになるが，それに立ち向かう司書を描いたナット・ヘントフの傑作『誰だ ハックにいちゃもんつけるのは』（集英社コバルト文庫．惜しくも品切絶版！）もある。 マーク・トウェインはいわゆる児童文学の領域にとどまらず，『王子と乞食』や『アーサー王宮廷のヤンキー』，『不思議な少年』といった作品で，いつまでも読み続けられる作家のひとりである。 |